2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケアの社会化とジェンダー-男性ワーカー参入以後の介護現場をめぐって
Project/Area Number |
06J07532
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山根 純佳 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ケア / ジェンダー / 行為主体 / 構造化理論 / 介護労働市場 / 社会変動 / ケアの社会化 |
Research Abstract |
今年度は介護労働市場をめぐる実証研究における調査と、理論的作業を並行しておこなった。調査研究としては、男性ヘルパーに関する調査、そして今年度からの日本への受け入れが決まっているフィリピンからのケアワーカーに関する調査をおこなった。フィリピン(マニラ・ダバオ)調査において、ケアワーカー養成学校の見学、アンケート調査、経営者への聞きとりをおこなった他、OFW(Oversea Fillipino Worker)を対象に、移住生活や家族の別離などケアワーカーが抱える問題について、聞き取り調査をおこなった。 男性ホームヘルパーに関しては、男性ヘルパーの会への参与観察、聞き取り調査をすすめ、その成果を雑誌『ソシオロジ』に「男性ホームヘルパーの生存戦略-社会化されたケアにおけるジェンダー」として投稿し、掲載にいたった。男性ホームヘルパーが高い志と介護・家事に関する十分な技術をもっていても、労働条件からヘルパー職を辞めざるをえない状況があること、そして介護職においても男性が、所長職などより高い地位に就く性別職務分離がおこっていることをあきらかにした。 理論的作業としては男性ホームヘルパーをめぐる分析に用いたagency概念について構造化理論、ポスト構造主義理論など英米圏の理論を整理、検討し「agency理論の到達点と課題」として雑誌『社会学評論』へ投稿した。本論文では、構造決定論から脱却するagency理論の構築には、構造概念(ハビトゥス・場)の精緻化が必要であること、またジュディス・バトラーの行為遂行性をめぐる議論には、ブルデューのハビトゥス概念に行為者の能動性を担保し、社会変動を論じる可能性があることを論じた。
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Research Products
(3 results)