2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J07535
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
渡辺 めぐみ 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 家族農業経営 / 農業労働 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究は、農業労働におけるジェンダー問題の中範囲の理論をつくることを最終目的としており、その作業の軸として、農業資産の継承規則と労働との関連についてジェンダー視点からの枠組みの構築、そして、酪農業をフィールドとした量的調査による検証、の2つがある。そこで18年度は、17年度以前に収集し、未だ分析に組込んでいない酪農業の調査データの分析を進めてきたが、理論への組込みに難航し、枠組みの修正の必要が生じた。そこで、新たな調査データの収集は中断して19年度以降に見送り、枠組みの再検討を行った。そのため、歴史研究など周辺領域の文献調査の拡大を行い、より精緻な理論構築のため、雇用労働も含めた労働全般の分析へと視野を広げ、農業労働分野に応用できる知見を探索した。具体的には、多項ロジスティック分析を用いた、(1)女性の労働キャリアの中断と再就職の規定要因、(2)女性の職業満足度の規定要因、の研究である。(1)からは、女性の学歴ではなく夫の学歴が女性の再就職に影響を与えていることや、逆に、職業キャリアがジェンダー規範に葛藤を起こしているという知見を得た。酪農業の事例において、従来構築してきたモデルでは解釈できない、女性とキャリアの関連が散見されていたが、その解決の糸口を得ることが出来た。また、(2)の研究は、農業労働における「やりがい」のジェンダー格差の研究に関連するものであるが、従来の職業満足度のスケールが自営業・家族従業者の女性にフィットしにくいことや、女性の職業満足度の規定要因は、本人の属性からは特定しにくいことなどがわかった。ゆえに、20年度に向けて、酪農業における職業満足度のスケールの作成という課題を得た。 18年度は、新たな事例の追加による検証はできなかったが、20年度に実施する予定となっている酪農業をフィールドとした量的調査に向けて、統計分析の知識を習得し、モデルの構築という点で前進した。
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Research Products
(2 results)