2007 Fiscal Year Annual Research Report
1920年代ドイツにおける公益的住宅建設-ゾーリンゲン市の事例を中心に-
Project/Area Number |
06J07553
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
柳沢 のどか Hitotsubashi University, 大学院・経済研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ドイツ / 経済史 / 非営利住宅建設 / 国際研究者交流 / 世帯形成 / 住宅 / 1920年代 / ゾーリンゲン |
Research Abstract |
当研究の目的は、1920年代ドイツにおいて「公益的住宅建設」と呼ばれていた非営利住宅建設の試みが住民の都市内流動の激化、社会的居住分化の進行、借家住宅市場における低所得者向け住宅の供給の停滞、という近代都市を象徴する現状にいかなる作用を及ぼしたのかを実証研究から明らかにし、その試みが都市問題解決の糸口となりえたか否かを、ゾーリンゲン市での住宅建設を事例に分析することにあった。 この研究目的にかんして、平成19年度は「1920年代ドイツにおける非営利住宅建設と借家市場-ゾーリンゲン・ヴェーガーホーフ団地の場合-」と題した論文を政治経済学・経済史学会の学会誌『歴史と経済』に発表し、非営利住宅建設の試みが中古借家市場の逼迫の緩和、という形で、都市問題解決の糸口になりえたことを明らかにした。また、この団地入居者の居住年数を分析し、その分析から、彼らの都市内流動性が同団地で弱まり、居住者の間で定住志向が強まった点も明らかにした。 さらに、いかなる主体が非営利住宅建設を推進・支援したのかについても分析した。この分析の結果、非営利住宅建設が他都市に比べて活発に行われたゾーリンゲン市では、左右問わずあらゆる政党が市議会において非営利住宅供給組織の住宅供給を肯定的に捉えていたこと、そして、そのことが、同市での非営利住宅建設の活発化の要因のひとつとなったことを、「1920年代ドイツにおける住宅供給と市議会-ゾーリンゲン市の事例」(『一橋経済学』に発表)で明らかにした。
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Research Products
(3 results)