2007 Fiscal Year Annual Research Report
政治体および市場へ参入する社会運動と現代の社会運動セクターの変容過程
Project/Area Number |
06J07593
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
村瀬 博志 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会運動 / NPO / NGO / 市民活動 / 市民社会 / 住民運動 |
Research Abstract |
平成19年度は、変容する社会運動セクターの実態および住民投票運動の事例を経験的に分析した。大きくいって、次の二点の知見が得られた。 第一に、平成18年度に筆者を含む研究グループが実施した「首都圏の市民活動団体に関する調査」(以下、本調査と表記)の計量的なデータ分析を行ったところ、「市民活動団体」という行為者のカテゴリー(自己規定)が多義的な性格をもつことが明らかになった。社会運動や市民活動をめぐる多くの議論が「社会運動とNPO/NGO」という構図で議論されているのに対して、本調査では社会運動でもNPO/NGOでもない「市民活動団体」というカテゴリーを仮説的に設定した。本調査で特定した「市民活動団体」には、ローカルなレベルで環境問題に取り組む団体、社会運動団体ほどではないにせよ直接的な抗議活動を行う団体などがみられ、いくつかの類型の団体が混在していると考えられる。社会運動でもNPO/NGOでもない「市民活動団体」というカテゴリーを発見したことは、社会運動セクターまたは市民社会の現代的な展開を考察するうえで、大きな意義をもつと考えられる。 第二に、これまで継続的に行ってきた、徳島県の住民投票運動の事例分析を行った。平成20年度に発表される論文では、少数の人びとから始まった運動が徳島県政を揺るがすほどの中心的なアクターとなる過程を「サブ政治の出現とその制度化」という視点から考察した。関係者に対する聞き取り調査のデータ分析に基づき、住民運動が制度的な政治の壁を乗り越えた高揚の局面、住民投票の民意を固守するために制度政治の内部に回収された局面を明らかにした。
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Research Products
(4 results)