2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞ガンの進展に関わる遺伝子の同定及びその機能解析からの新規診断・治療薬開発
Project/Area Number |
06J07616
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
恒富 亮一 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
ID2による肝細胞ガン表現型への作用機序の解析 平成18年度での研究から,ID2レベルは細胞運動能・浸潤能と逆相関していることが確認された。つまり,ID2の増加によって細胞運動能・浸潤能が低下し,逆にID2の減少によって細胞運動能・浸潤能は高まった。そこで平成19年度では,その作用機序について解析を行った。解析にはgene-targeting(ID2強制発現およびID2ノックダウン)を施した肝細胞癌株を用いて,細胞運動能・浸潤能に強く関連する遺伝子の変動をmRNAレベルおよびproteinレベルで解析した。その結果,ID2強制発現株では細胞運動能・浸潤能に関係するマトリックスメタロプロテネース-1(MMP-1)と血管新生因子(VEGF)の発現が低下していることを明らかとした。また,ID2ノックダウン株ではVEGFの発現亢進は認められたが,MMP-1の発現変動は見られなかった。さらに,ID2強制発現株に組み換えVEGFを添加すると,細胞運動能・浸潤能が回復し,ID2ノックダウン株において、さらにVEGFもノックダウンすると細胞運動能・浸潤能の亢進が抑えられることを見いだした。これらの結果から,ID2による細胞運動能・浸潤能の改変といった表現型は,VEGFの発現調節を介することによって行われていると明らかにした。 また,肝細胞癌株を脱メチル化剤処理するとID2発現が上昇することから、ID2自身の発現がメチル化によって制御されるのではないかと示唆された。そこで,肝細胞癌株でのメチル化をBisulfite sequencing法にて解析したが,ID2プロモーター領域にはメチル化は検出されなかった。以上の結果から,ID2自身の発現調節は,メチル化によって制御されている何らかの因子を介して行われていると推察された。 上述の研究成果を論文および学会で発表した。
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Research Products
(6 results)