2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞ガンの進展に関わる遺伝子の同定及びその機能解析からの新規診断・治療薬開発
Project/Area Number |
06J07616
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
恒富 亮一 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
平成19年度までの研究によって、Inhibitor of DNA binding 2(ID2)がVEGFの発現を調節することで、肝細胞ガンの細胞運動能・浸潤能を改変し、肝細胞ガン進展機構に寄与していることを明らかとした。平成20年度では、ID2自身の発現制御機構としてID2プロモーター領域のDNAメチル化による制御について研究を進めた。平成19年度までの研究では、肝細胞ガン細胞株における脱メチル化剤によるID2発現の誘導は確認されていたが、ID2プロモーター領域におけるDNAメチル化を見いだせていなかった。平成20年度では探索領域を広げた結果、メチル化特異的PCR(MSP)によって検出されるID2のメチル化領域を見いだした。これを基に肝細胞ガンの臨床サンプルについてMSPを行った結果、UICC2002に基づくステージIに対してステージII-IVではよりID2がメチル化されていることが判明した。これにより、既にID2発現は肝細胞ガンの進展に沿って発現が低下することを明らかとしていたが、これがDNAメチル化によるものであることが示唆された。 また、ID2レベルが抗がん剤による抗増殖活性に影響するかどうかについても解析を行った。ID2レべルの上昇によって、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の抗増殖活性が抑制された。一方、ID2レベルの減少によって、HDAC阻害剤の抗増殖活性が高められた。HDAC阻害剤以外ではID2レベルによる影響は見られなかった。肝細胞ガン細胞株において、ID2レベルがHDAC阻害剤の抗増殖活性に影響を及ぼすことが示され、ID2レベルはHDAC阻害剤感受性のマーカーとなる可能性が示唆される。上述の研究成果を学会にて発表し、現在、投稿論文を作成中である。
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Research Products
(8 results)