2006 Fiscal Year Annual Research Report
単細胞動物ミドリゾウリムシと緑藻クロレラとの細胞内共生成立機構の研究
Project/Area Number |
06J07631
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
児玉 有紀 山口大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミドリゾウリムシ / クロレラ / リソソーム / 食胞 / 二次共生 / 共進化 / 細胞内共生 / 感染 |
Research Abstract |
(1)宿主の食胞内に取り込まれたクロレラが一時的に宿主ライソソームに耐性を示す現象は、クロレラの細胞周期、クロレラの種類、クロレラと宿主のタンパク質合成活性の有無とは無関係であることを明らかにした。 (2)宿主の食胞から脱出したクロレラを包むPerialgal vacuole(PV)膜は、宿主細胞表層直下に約10μm間隔で接着する。これによって、クロレラは安定して娘細胞に分配される保証を得る。細胞内共生する能力を持たない種類のクロレラは食胞からの脱出には成功するが、細胞表層直下に接着することができない。さらに、クロレラの細胞内共生能力はその細胞壁の糖組成と一致すると理解されていたが、細胞壁の糖組成ではなく上記の接着能力であることを明らかにした。PV膜を細胞表層直下に短時間で輸送する機構と接着させる物質の存在が細胞内共生成立の最終段階に必須であることが明らかになった。この結果は、現在Kodama and Fujishima (2007) Protoplasmaに印刷中である。 (3)食胞から脱出し、宿主細胞表層直下に定着したクロレラを包むPV膜には,Gomori染色で識別される酸性フォスファターゼ活性のシグナルがなく、食胞膜由来のクロレラを包む膜は,この時点ですでにライソソームの融合を阻止するPV膜に分化していることを明らかにした。 また、この研究は2006年7月に中国の武準市で開催された第7回アジア繊毛虫会議でYoung Scientist Awardsを受賞した。
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