2006 Fiscal Year Annual Research Report
グラファイト基板上のHe吸着膜等を用いた静摩擦・動摩擦状態の研究
Project/Area Number |
06J07678
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
細見 斉子 電気通信大学, 大学院電気通俗学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 摩擦力 / ヘリウム / 吸着膜 |
Research Abstract |
本研究は,『静摩擦状態と動摩擦状態を決める因子は何か』を実験的に明らかにすることを目的とし,不純物原子を制御してピン止めを作り,He吸着膜等の界面摩擦の振る舞いを調べている.これまでに得られた成果は以下の通りである. 1.不純物のないグラファイト基根上の^4He吸着膜(^4He/Gr)の摩擦力に関して次のことを明らかにした. (1)不活性な^4He吸着膜の摩擦力は金属基板上の希ガス吸着膜の摩擦力より一桁以上小さい. (2)^4He第4層膜まで摩擦力は層毎に変化する.また,^4He/Grの摩擦力は基板と吸着膜,吸着膜の各層間に異なる摩擦力が働くモデルにより求めることができる. (3)^4He第2層膜以上では,ある温度以下で摩擦力の減少が観測される.摩擦力の減少する温度は吸着膜第2層では2K程度,第3・4層では1K程度と層に関速して変化する. (4)低温で^4He吸着膜の摩擦力は基板振幅が高いほど小さく,準安定状態となる.この状態の緩和時間を測定した. (5)^4He吸着膜が第4層で超流動が観測されると摩擦力の減少が観測されない.これは,超流動が不活性な膜の摩擦力を増加させるということを示唆している. 2.上記と同じグラファイト基板に,あらかじめKr原子を不純物として吸着させた基板上のHe4吸着膜(^4He/Kr/Gr)の摩擦力に関して次のことを明らかにした. (1)Kr原子を吸着させたことにより,He吸着膜の摩擦力は大きくなる. (2)^4He/Kr/Grにおいては摩擦力が減少する温度がHe^4/Grに比べて低温である,これは摩擦力が低温まで大きいことを意味する.
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Research Products
(2 results)