2006 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線衛星ASTRO-Fによる大質量銀河形成過程の解明
Project/Area Number |
06J07747
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
高木 俊暢 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 赤外線天文学 / 赤外線銀河 / 銀河進化 / 星間ダスト |
Research Abstract |
あかり衛星の近-中間赤外線カメラ(IRC)による大規模サーベイの成功に向け、まずは衛星軌道上でのIRCの性能評価を行った。撮像性能評価の一端として、IRC全9バンドでPoint Spread Function(PSF)の測定を行った。また、本格的なサーベイに先立ち、IRC1視野の10x10分領域でIRCの全バンドによる撮像観測を提案し、このデータの解析を行った。このデータ、および測定したPSFを用いて、観測天体のフラックスを測定する方法を確立した。 また、長期にわたるIRCの性能の安定性をモニターする観測データを解析し、質のよいIRC全バンドイメージを作成した。このイメージを用いて、とくに18ミクロンで検出される遠方の赤外線銀河のサンプルを構築した。これら18ミクロンソースに対応する可視光天体を同定し、可視光-中間赤外線をカバーする全16バンドで個々の銀河を測光した。この中から特に赤方偏移z>0.5にある銀河の候補天体を近赤外線での色から抽出し、可視光-中間赤外線領域のスペクトル・エネルギー分布(SED)を決定した。この観測結果を、独自に開発した爆発的星生成銀河のSEDモデルと比較し、あかりによる全バンドサーベイでは、赤方偏移した多環式芳香族炭化水素(PAH)からの特徴的な放射スペクトルの形がよく捉えられることを示した。あかり衛星の全バンドサーベイでは、可視光では暗いような遠方赤外線銀河についても赤方偏移を見積もることができるだろう。また、遠方赤外線銀河のダスト特性なども調査可能であることを示した。この結果をあかり衛星の初期成果論文の1つとしてPASJに投稿した。 遠方赤外線銀河の物理特性を詳細に調べるためには、分光観測によるフォローアップが必要不可欠である。このため、あかりで得られた遠方赤外線銀河サンプルに対して、すばる望遠鏡での多天体分光観測を提案した。
|
Research Products
(2 results)