2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J07951
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山本 尚理 東海大学, 健康科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | パッシブサンプラー / スギ花粉 / PAAS / 個人曝露 / アレルゲン / 浮遊粒子状物質 / 携帯型アレルゲン捕集装置 / 花粉症 |
Research Abstract |
研究者らは、被験者にとって負担の少ない携帯型アレルゲン捕集装置(PAAS : Personal Aeroallergen Sampler)を開発した。PAASは浮遊粒子状物質の中でも比較的粗大な吸入性アレルゲンを対象としていることから、粒子の重力沈降をパッシブ捕集の駆動力として想定している。したがって、サンプラーを携帯している被験者の動きによらず、サンプラー捕集面を常に上向きにする必要がある。そこで、粒子捕集面が常に上向きとなるよう、ジンバルに類似した機構を設けるなどの工夫を施した。 本年度は特に、PAASによるスギ花粉の捕集性能について基礎検討を行い、大規模疫学調査などでの応用について検討を行った。具体的には、現在日本で最も広範に利用されているスギ花粉の定点観測装置であるDurham型捕集器や最も標準的な浮遊粒子状物質の個人曝露サンプラーであるInstitute of Occupational Medicine(IOM)サンプラーと比較することで評価を行った。また、捕集したスギ花粉のサンプルは、染色液であるゲンチアナバイオレットで花粉を染色し顕微鏡観察することで定性および定量した。 既存のアクティブサンプラーであるIOMサンプラーとの比較の結果、概ね良い相関を得ることが出来た。また、地方自治体によるDurham型捕集器での常時定点観測結果と比較した結果、花粉飛散のピーク時期と個人曝露のピーク時期に時間差があるなどの知見を得ることが出来た。 日本国内におけるスギ花粉症患者は全国で約1300万人、経済損失は年間約2900億円と推定されており対策が急務であることから、大規模疫学調査などにより、スギ花粉症の発症機構について、その詳細を明らかにすることが望まれている。
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Research Products
(1 results)