2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア古代国家成立期における地方政体の考古学的研究-メコン河下流域を中心に-
Project/Area Number |
06J07984
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
平野 裕子 上智大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 考古学 / メコン河下流域(メコンデルタ) / ベトナム・カンボジア / 扶南 / 古代国家の形成 / 交流ネットワーク / 地方政体の統合 / オケオ文化 |
Research Abstract |
本研究は、メコン河下流域において、東南アジアで最初に成立した古代国家である扶南国の成立および各地方の統合化のプロセスを、遺物・遺跡にもとづく帰納的データや地理的データ等をもとに、各地域に存在した文化伝統の変容・製作技法の伝播等の考察から明らかにするものである。なかでも、扶南国の外港と言われるオケオ港市遺跡と、メコンデルタ(現ベトナム南部・カンボジア南部)の各水系沿いに分布する扶南国期(特に四世紀以後)の拠点的遺跡群-地方政体-に着目し、オケオ港市を結節点として水系を通じて相互に結ばれた交流ネットワークの展開およびその関係性を、考古学的に検証する事を試みる。 本年度においては、当地域において、発掘調査に先立つ事前調査と基礎データの収集を重視し、諸遺跡の立地・分布状況や出土遺物の具体的内容の把握に努めた。第一に、メコン河下流域の四大水系のうち二水系(ベトナム領ハウ河流域・ヴァンコータイ川流域およびカンボジア領タケオ州アンコールボレイ遺跡群・プレイヴェン州バプノム遺跡等)を中心に、マウンド上に立地する諸遺跡の踏査を行った。調査に関しては、乾季の2月末から3月初旬に集中的に行い、諸研究者の方々と意見交換・討論を行いながら進めることができた。第二に、地図・文献・写真データ収集および資料調査においては、ベトナム(ベトナム南部社会科学院図書館・各省博物館等)・カンボジア(王立芸術大学・アンコールボレイ遺跡博物館等)にて行い、遺物は当地域において普遍的に出土する注口付き壷・瓦等の土器や、貴石製/ガラス製装身具等に着目し、比較研究のための資料化を進めた。その結果、上記の二水系を中心に分布する遺跡・遺物を体系的に理解するために必要なデータを多く収集でき、多様な交流ネットワークの究明が有効な資料を把握することができた。 これらの成果の一部は、学会や研究会での研究発表・討論や、学術雑誌にて公表を行い、広く意見を求めた。
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Research Products
(5 results)