2007 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア古代国家成立期における地方政体の考古学的研究-メコン河下流域を中心に-
Project/Area Number |
06J07984
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
平野 裕子 Sophia University, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 考古学 / メコン河下流域(メコンデルタ) / ベトナム・カンボジア / 扶南 / 初期国家形成 / 交流ネットワーク / オケオ港市 / 南シナ海 海上交通 |
Research Abstract |
本研究は、メコン河下流域(現ベトナム南部・カンボジア南部)において、東南アシアの初期国家である扶南国の成立および各地域の統合化プロセスを、考古学的資料をもとに、文化伝統や製作技法の変容・文化交流の発展等の考察から明らかにするものである。特に交易の結節点であるオケオ港市遺跡を中心に、メコンデルタに分布する拠点的遺跡群間の交流ネットワークを検証するため、本年度の調査では、交流を示すキーワードであるガラスと瓦の資料調査および遺跡の踏査を重視し、資料化とデータの分析に努めた。 第一に、資料調査・収集について、主にベトナム(南部社会科学院・考古学院・ロンアン省/ドンナイ省博物館等)とカンボジア(文化芸術省・王立芸術大学・上智大学アジア人材養成研究センター等)にて行った。また瓦の出土遺跡群(カウハン・バウサケオ・アンコールボレイ・バプノム・サンボープレイクック・コーケー遺跡群等)の踏査により、建築遺構との関係や分布状況等の具体的内容の把握に努めた。これらの成果により、メコンデルタ一帯の大きな史的枠組みにおける比較データが収集でき、オケオ文化発展期(3/4世紀以降)の瓦の型式・技法との類似点・相違点や、広域での相互交流の実態を考察することが可能となってきた。 第二に、メコン河下流域の二水系(ベトナム領ヴァンコータイ川・ドンナイ川流域)において、ゴーズン・ゴーハン・カウハン遺跡等の諸マウンド状遺跡の踏査を行い、居住址の発掘予備調査を行う中で、上記の水系に分布する諸遺跡の状況や地理的立地環境の変遷を理解するために必要なデータを、多く把握することが出来た。 これらの調査の成果の一部は、国内外の学会・研究会や講演会での発表および討論等において、広く意見を求めた。特にベトナムにおいては、国際会議「Archaeology of Vietnam-Cambodia-Laos: Toward Sustainable Cooperation」にて研究発表を行い、インドシナ三国間の考古学研究についてカンボジア・ラオス等の研究者と意見交換を行った。
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Research Products
(8 results)