2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08014
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
橋山 一哉 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ショウジョウバエ / 細胞運動 / 極細胞 |
Research Abstract |
生物の体の形成は、細胞の運命決定及び連続した細胞運動によって成し遂げられる。ショウジョウバエでは、原腸陥入時期に中胚葉領域の同調的な運動と極細胞の生殖巣への移動が開始する。本研究では、中胚葉及び極細胞の分化や細胞運動に関与する新規遺伝子の同定を試みる。 1、中胚葉における研究 Berkley Drosophila Genome Projectのデータベースより、中胚葉領域で発現する遺伝子の情報を得た。次に、これら候補遺伝子に対してin situ hybridization法を用い発現パターン調べた。その結果、中胚葉領域で4つの遺伝子(CG6736、CG32372、CG4675、CG3048)が高発現していることが明らかとなった。これら遺伝子における変異体は未同定である。今後、RNAi法やトランスジェニックフライを用いた過剰発現等の解析を行い、これら遺伝子の機能を明らかにする予定である。 2、極細胞における研究 当研究室のEST及びマイクロアレイ解析のデータより、始原生殖細胞(極細胞)で発現する遺伝子の情報を得た。次にin situ hybridization法を用い、発現パターンを検証した。その結果、極細胞において蛋白質のSUMO化に関与する遺伝子群(smt3、lwr、uba2、aos1、ulp1)が高発現していることが明らかとなった。また、SUMO化に関わる蛋白質の活性を抑制すると、生殖巣へ到達するよりも早期に、雌個体でのみ極細胞が細胞死をおこすことを見出した。始原生殖細胞の性差は、生殖巣に取り込まれた後、体細胞からのシグナルにより決定されると考えられており、今回の結果は生殖巣形成より早期に極細胞自律的に性差が引き起こされることを予想させる。当初、極細胞の移動に関与すると予想していたが、この結果はその予想に反し、始原生殖細胞の性決定機構を明らかにできる可能性を秘めている。今後は、生殖細胞系列におけるSUMO化の機能についても解析を進める予定である。
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