2007 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ神経細胞培養系を用いた概日時計による睡眠-覚醒制御機構の解析
Project/Area Number |
06J08032
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨田 淳 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 睡眠 / 覚醒 / ショウジョウバエ / fumin変異体 / ドーパミン / 脳 / DNAマイクロアレイ / 局所細胞外電位 |
Research Abstract |
1、新規睡眠-覚醒関連遺伝子の探索 ショウジョウバエの睡眠-覚醒制御に関与する遺伝子の同定を目的とし,野生型と睡眠がほとんど認められないfumin変異体(ドーパミントランスポーターの機能欠失)の明暗条件(12時間:12時間)下での頭部の遺伝子発現を,DNAマイクロアレイを用いて比較した。その結果,いくつかのグルタミン酸関連遺伝子(受容体や代謝酵素など)の発現レベルに有意な差を見いだした。現在,それらの遺伝子について,GAL4-UAS系により中枢神経系でRNAiを誘導し,睡眠-覚醒行動を解析中である。また,脳でのドーパミンニューロンとグルタミン酸ニューロンの連絡についても,免疫染色などの方法により解析中である。 2、睡眠-覚醒時の脳神経活動の電気生理学的解析 ハエにおいても睡眠は脳の機能と考えられ,哺乳類の脳波のように,睡眠-覚醒状態と相関する脳神経活動が観察される可能性がある。実際に,ハエの脳の一部から記録した局所細胞外電位(LFP)の量が睡眠-覚醒状態と相関するという報告もある。そこで,さらに詳細にLFPと睡眠-覚醒状態の関係を調べること,また,睡眠-覚醒を制御する脳の領域を同定することなどを目的とし,ハエの脳のLFP測定系の確立を行った。これまでに半日程度のLFPの記録に成功し,またビデオ撮影することで,LFPと体の動き(脚の動きや姿勢など)の相関を調べることが可能になった。今後は,睡眠や覚醒状態を判定するための刺激装置を開発し,LFP測定系と組み合わせることで,LFPと睡眠-覚醒状態の関係を解析する。
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