2008 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ神経細胞培養系を用いた概日時計による睡眠-覚醒制御機構の解析
Project/Area Number |
06J08032
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨田 淳 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 睡眠 / 覚醒 / ショウジョウバエ / fumin変異体 / ドーパミン / 脳 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
新規睡眠-覚醒関連遺伝子の探索 ショウジョウバエの睡眠-覚醒制御に関与する遺伝子の同定を目的とし,野生型と睡眠がほとんど認められなしfumin変異体(ドーパミントランスポーターの機能欠失)の明暗12時間-12時間条件下での頭部の遺伝子発現を,DNAマイクロアレイを用いて比較した。その結果,127個の遺伝子の発現レベルに有意差がみられた。それらの遺伝子のうち35個について,GAL4-UAS系により全神経でRNAiを誘導したハエの睡眠-覚醒行動を解析し,2つの遺伝子の発現抑制により活動量と睡眠量がコントロールに比べてそれぞれ3〜4倍上昇することを見いだした。これら2つの遺伝子はそれぞれ神経伝達物質の受容体と,その下流で働くシグナルトランスデューサーをコードしている。このシグナルトランスデューサーは,in situハイブリダイゼーション法により,ほぼ全ての脳神経細胞で発現していた。また,RNAi系統では睡眠量の増加に加えて,睡眠中に与えた機械的刺激に対する反応性が,コントロールに比べて低下していることを明らかにした。現在,GAL4-UAS系による中枢神経系における部位特異的な発現抑制や過剰発現によって,ハエの睡眠-覚醒制御における機能について解析を進めている。今回見いだした2つの遺伝子は,学習・記憶にも関与することが報告されており,睡眠と学習・記憶との関連の分子レベルでの解析に,ショウジョウバエを用いることができる可能性を示す。
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