2006 Fiscal Year Annual Research Report
アントラセン-DNAコンジュゲートの光化学ライゲーションおよび遺伝子解析への応用
Project/Area Number |
06J08090
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
迎 文都子 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNAコンジュゲート / 光二量化反応 / 光化学ライゲーション / 遺伝子解析 / 質量分析 / アントラセン |
Research Abstract |
本研究では、アントラセンの光二量化を利用した光化学ライゲーションを検討している。これまでにアントラセン-DNAコンジュゲートを合成し、鋳型DNA存在下、光照射によって光二量体が生成することを示した。しかしながら、これまでに合成したコンジュゲートでは、光二量化効率が最大でも40%ほどである。そこで、アントラセンの1位または2位を誘導体化したDNAコンジュゲートを合成し、二量化効率に及ぼす置換位置の影響を検討した。さらに遺伝子解析法への応用を目的として一塩基変異検出条件を検討した。 【二量化効率に及ぼす置換位置の影響】1,2-アントラセンカルボン酸を活性エステル化し、末端アミノ化DNAとのカップリング反応により、アントラセンーDNAコンジュゲート(1位置換体、2位置換体)を合成した。これらコンジュゲートが鋳型DNAと二本鎖を形成した状態で光照射を行ったところ、対応する光二量体が生成した。光二量化効率を比較したところ、1,2位置換体では二量化速度が格段に速く、照射時間1分でほぼ定量的に進行した。 【一塩基変異検出条件の検討】これまでは比較的これまでに比較的短いコンジュゲートを用いて一塩基変異検出を行った。これは、変異がある場合とない場合での熱安定性の相対差を大きくして、コンジュゲートのon/offに基づくライゲーション効率の制御を目的としたためである。しかながら、この方法では極低濃度である場合に用いることができない。そこで、熱的に安定な長いコンジュゲート(15塩基)を用いて光照射を行い、局所的な構造の乱れが二量化効率に及ぼす影響について検討した。光照射後のHPLC結果より、変異が存在する場合には二量化効率が著しく低下した。一塩基変異によって生じた局所的な構造の乱れが二量化効率に影響を与えたと考えられ、これによって極低濃度における遺伝子解析への応用が期待できる。
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