2006 Fiscal Year Annual Research Report
IP-SANにおける安全かつ高性能なストレージアクセス方式の提案と性能評価
Project/Area Number |
06J08146
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
神坂 紀久子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ストレージ / SAN / iSCSI / IPsec / 高遅延 |
Research Abstract |
近年のデータ量の急増に伴い、iSCSI、TCP/IPプロトコルとEthernetを使用して構築され、分散されたストレージを統合してデータを効率的に管理するIP-SANが注目を集めている。IP-SANは従来のFC-SANと異なり、コモディティなネットワークを使用するため、ストレージの構築・管理コストの大幅な削減ができる。また、IPネットワークとのシームレスな統合により、大規模広域SANの構築が可能である。今後IP-SANは、非常災害対策のための遠距離バックアップに利用することや、クラスタなどの大規模なシステムに使用することが期待されている。 IP-SANのプロトコルであるiSCSIはオープンなTCP/IPを介するため、セキュリティは重要な課題である。しかし、暗号化通信は性能低下が著しいだけでなく、既存の暗号化通信方式であるIPsecを使用すると、細分化されたデータに対して下位のIP層で暗号化を行うため、効率的な処理が困難である。 本研究では、暗号処理と暗号化の先処理よる最適化を、下位のTCP/IP層ではなく、上位層で実行することによって性能を向上させるストレージアクセス方式を提案した。また、サーバ側では上位層における暗号化と最適化機能を実装し、ストレージ側では上位層において暗号化を行うカーネルモジュールを構築して組み込むことによって、提案方式に基づくミドルウェアを実装した。さらに、広域IP-SANを想定して遅延装置による擬似的な高遅延環境を構築し、サーバとストレージを1対1接続した小規模IP-SAN環境において提案システムの性能評価を行った。その結果、提案方式はIPsecより、1.4倍から6.6倍スループットが向上した。
|
Research Products
(6 results)