2007 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害からの回復-回復者へのインタビュー調査に基づく社会学的考察
Project/Area Number |
06J08157
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中村 英代 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 摂食障害 / 過食症 / 拒食症 / 回復 / 質的調査 |
Research Abstract |
これまで、摂食障害を対象とし、社会学に立脚した研究を行ってきた。拒食や過食、嘔吐を主訴とする摂食障害は、アメリカ、ヨーロッパをはじめ、わが国でも若い女性を中心に蔓延している。こうしたなか、回復を促す実践・研究の進展が望まれるが、効果的な治療方法は確立されておらず、回復についての議論や予後調査も、国内外を問わず非常に少ない。特に、医学的アプローチが主導の研究状況では、治療の枠外で回復しているケースは、その実態がほとんど把握されてこなかった。しかし、回復を明らかにするためには、医療機関を中心に据えた「治し方」だけをみるのではなく、人々がどのように回復しているのか、つまり、当事者の生活世界を中心に据えた「治り方」にも着目していく必要がある。そこで、本研究では、「治り方」に着目し、回復者へのインタビュー調査を国内で初めて実施するとともに、不可視のものとされてきた回復過程の解明を行った。 摂食障害はこれまで個人病理と見なされ、回復とは特定の治療方法の成功例として記述されてきたが、本研究によって、発症から回復までの一連のプロセスを、個人病理を超えた社会的相互作用の観点から把握することが可能となった。こうした知見は、従来の研究の在り方、従来の治療実践に大きなパラダイム・シフトを要請するものである。これら全ての成果を博士論文[「摂食障害からの回復-質的調査に基づく社会学的考察」]としてまとめた[お茶の水女子大学 論文博士(社会科学)2008年9月]。
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Research Products
(3 results)