2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08214
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上野 哲 広島大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 教育倫理学 / 教師の専門職倫理 / 道徳教育 / Ethics Across the Curriculum / 技術者倫理 / 科学技術倫理 |
Research Abstract |
1.「評価」をめぐる行き詰まりと、これを乗り越える市民講座における教育手法の分析 「技術者倫理」関連科目においては、授業「評価」方法に関する明確な基準の確立に奔走され、効果的な授業「内容」の検討に至っていないことが明らかになった。こうした問題点を乗り越えるため、平成18年秋から、「評価」の必要がない科学技術倫理関連の市民講座運営(広島市科学技術市民カウンセラー連絡会議)に本格的に携わり、非専門家の参加型倫理教育の可能性を探っている。 これは、期せずして、今年度最初に計画していた"Ethics Across the Curriculum(カリキュラム全体を通して倫理問題を考えさせる)"方式での倫理教育の実現に向けての問題点の洗い出しにもつながっている。 2.「教育倫理学」の意味に関する実証的研究 国外においては旧ソ連・ドイツ・アメリカの「教育倫理学」関連の文献調査を、また国内においては明治期及び戦後の「教育倫理学」関連の文献調査をおこなった。その結果、従来の見解とは異なり「教育倫理学」にはもともと「教師の専門職倫理研究」の意味しかなく、「道徳教育研究」という意味は国内においては1953年以降に付与されたことを実証した。 3.教育現場における倫理問題事例収集の限界 実際の教育現場で生じている倫理的問題の事例収集のために、広島県内の2つの高校の教師に対する聞き取り調査をおこなったが、本当に重要な倫理的問題は隠されてしまい、得られなかった。こうした反省から平成18年夏以降、調査対象を「保育」に携わる人々に変え、保育所・幼稚園・子育てサークル関係者への参与観察的な方法に変えた。その結果、多くのデータが集まったが、個人的問題と公的な問題が混在しているため、今後の整理を来年度に持ち越すことになった。
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