2007 Fiscal Year Annual Research Report
5.5TeV重イオン衝突における光子を用いたクォークグルーオンプラズマの研究
Project/Area Number |
06J08245
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鳥井 久行 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原子核 / 宇宙 / クォークグルーオンプラズマ / 重イオン / 光子 |
Research Abstract |
本年度は建設中のLarge Hadron Collider(LHC)の計画変更に伴い柔軟に研究を進めてきた。 まずは、光子検出器Photon Spectrometer(PHOS)の運転準備ならびに試験に力を注いできた。LHC加速器の運転中は放射線の観点からPHOS検出器を遠隔運転する必要があり、遠隔操作の開発試験を行ってきた。すべての読み出し回路の電源操作ならびにバイアス電圧のコントロールなど、遠隔操作が可能であることを確認した。また、5分の1に相当する1モジュール分に対し宇宙線を用いた試験を行った。全チャンネルのゲインを求めた結果、平成18年度に電子を用いて決定したゲインと約10%の精度にて一致していることを確認した。この10%のばらつきは、PWO結晶の線形性ならびに電子ノイズと密接に関係しており、今後理解を進めていく必要がある。 次に、オフライン解析のためのコード開発ならびにシミュレーション等を行ってきた。エネルギー較正のための基礎研究として、衝突からくる荷電粒子や中性中間子を用いた較正手法についての考察を行ってきた。2008年6月から開始される中心衝突エネルギー14TeVの陽子+陽子衝突における中性中間子解析のためのコード開発を行ってきた。1日あたり約500個の中性中間子を検出することが可能であり、PHOS検出器を用いた最初の成果として期待している。 また、更なる光子検出器性能向上を目的とした研究開発への一歩としてテストベンチを制作した。広島大学においてPHOS読み出し回路ならびにALICE共通のデーター収集システムを導入し、APDからの信号をコンピュータ上に記録するまでの経路が完成した。これから性能向上を目指して研究を続けていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)