2006 Fiscal Year Annual Research Report
途上国の有機農業をめぐる構造と産地の実態-スリランカの事例を中心として-
Project/Area Number |
06J08276
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 大地 広島大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 途上国 / 有機農業 / 農産物産地 / 農村地域 / プランテーション / 持続可能性 / スリランカ / 地理学 |
Research Abstract |
本年度は、途上国において有機農業がどのような構造のもとで展開し、産地にいかなる社会的・経済的影響を及ぼしているのかを、スリランカの事例を中心に検討した。特に、下記の2点を中心に行った。 (1)スリランカにおける有機農業の展開のうち、アグリビジネスやNGOが小農民のグループを組織して有機農産物産地を形成しているパターンについて、展開状況および社会的・経済的影響を検討した。研究対象地域としてキャンディ県ムルガマ村を選択し、全戸悉皆調査等を実施した。その結果、同村において有機農法は、低コスト生産・高価格販売にメリットを感じる大・中規模の茶栽培農家を中心に契約栽培の形で採用されている例の多いことが判明した。しかし課題として、同村では有機農業の推進において地域の農業構造・農家経営が十分にふまえられておらず特に低所得者層に広まっていないこと、身近に有機農産物市場がないため農家側が創意工夫して有機農法の開発を行いそれを他農家と共有する事例がほとんどないことも明らかとなった。 (2)特別研究員就任前に行った、「スリランカにおける有機農業の展開とそのメカニズム」、および「スリランカ茶業の構造変化と有機農法導入の影響-プランテーション部門を中心に-」という2つの研究と上記を総合化し、考察を深めた。また、途上国における有機農業の展開構造と有機農産物産地の実態を明確化するため、日本においてこれまでに実施していた同様の研究の内容を見直し、比較検討を行った。 以上の内容の一部を、国内外の学会で発表し、投稿した。さらに、ここまでの研究成果を博士論文としてまとめ、提出した。博士論文については、英語および日本語での公刊に向けて準備中である。 来年度は、研究対象地域をインドに広げて有機農業の展開状況および産地の実態を把握し、スリランカで得られた成果との比較検討を進める予定である。
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Research Products
(3 results)