2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08288
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
牧 貴愛 広島大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タイ / 初等中等教員 / 質的向上 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、タイ初等中等教員の社会的役割とその民族的特質を歴史的・比較的観点から解明することを目的としており、今年度は、次の研究活動を行った。 第1に、2006年8月から2007年3月までの8ヶ月間、タイ教育省教育審議会事務局に、訪問研究員として滞在し国内では入手不可能な資料を収集した。また、同事務局の研究員等とタイと日本の教育について積極的に意見交換を行った。 第2に、タイ教員に求められる資質・能力を明確化するために、教員関連法規に盛り込まれた資質・能力に関連する条文の通時的・共時的比較分析を行った。通時的比較分析では、初等中等教員が国家公務員としての身分を有することとなった1948年から現行の2004年の法規を分析対象とした。共時的分析では、タイにおいていわば新興の専門職としての教員の倫理規程と伝統的専門職である弁護士、医師の倫理規程に絞って比較分析を行った。共時的比較分析の成果は、「タイ初等中等教員に求められる倫理の特質--他の専門職倫理規程との比較分析--」としてまとめた。以上の分析から、タイ初等中等教員は、児童・生徒のみならず、広く地域社会にとって「模範的人間」であることが求められていることが明らかになった。 第3に、タイ教員に求められる資質・能力が、いかに制度的に担保されているのかという点に関して、校内研修制度に焦点を当て、文献資料ならびに学校訪問調査から得られた知見を基に、同制度の特徴ならびに実施状況について分析した。この成果は、2007年3月1日、アメリカ合衆国メリーランド州ボルティモア市にて開催された北米・比較国際教育学会(CIES)において「タイにおける教員の協働とタイ的気配り文化--校内研修の事例研究--」というテーマで口頭発表を行った。
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