2007 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域軟ガンマ線及び可視光観測によるガンマ線バーストのジェットの物理状態の解明
Project/Area Number |
06J08300
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大野 雅功 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガンマ線バースト / 多波長観測 / 相対諭的ジェット |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までで大きく進展したすざく衛星搭載ガンマ線バーストモニタの軌道上校止結果に基づき、すざく衛星を用いたガンマ線バーストのジェットの物理の解明を本格的に行った。具体的には昨年度に論文として発表した継続時間の短いガンマ線バーストと長いバーストの違いに着目し、これまで観測した全ての観測データを用いて系統的に調べることで,ジェットの物理などが異なるかどうかを調べた。その結果、継続時間の短いバーストは長いバーストに比べ、硬いスペクトルをもつ傾向があることを明らかとした。他にもさまざまな観測的違いを見出した。これらの多くの違いは、継続時間の短いガンマ線バーストは長いバーストとは異なる中心天体を持ち、さらにガンマ線放射領域である超相対論的ジェットの運動速度が長いバーストに比べて数倍大きいとするとよく説明できる。このことは、ガンマ線バーストのジェット構造について新たな示唆を与える重要な結果である。この結果は博士論文としてまとめ、広島大学において受理された。また、多数の国際、国内会議において口頭発表した。その過程で、多くの理論研究者との繋がりも構築することができた。 以上がら、すざく衛星ガンマ線バーストモニタの成果を世界に発信する体制を整えることに成功し、現在も次の論文の準備を進めている。 地上望遠鏡については、偏光観測計の準備が大きく進んだ。来年度から実際に観測開始できる見通しで、今後も協力して多波長観測を続ける予定である。 他にも、来年度に打ち上げを予定しているガンマ線観測衛星GLASTを多波長観測体制に加えるべく、GLASTチームの一員として打ち上げ前の準備を行い、データの解析体制を確立することに成功した。
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