2006 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン基板上に成長した金属ナノクラスターアレイの量子サイズ効果と電子状態の研究
Project/Area Number |
06J08301
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
成田 尚司 広島大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シリコン / アルミニウム / ナノクラスター / 探針誘導バンドベンディング / 表面電子状態 / 走査トンネル顕微鏡(STM) / 走査トンネル分光(STS) |
Research Abstract |
本年度はSi表面上のナノ構造体の表面構造・電子状態を解明する目的で以下のとおり実施した. (1)独自に設計した「STM探針加熱ホルダー」でSTM探針のクリーニングを行い,STM測定時の高安定・高信頼性・高分解能を実現でき,また,不純物ガスの発生を抑えた「Al蒸着源」を作成し,その有用性を確かめた.さらには,STMと光電子分光アナライザーを接続した複合測定システムを構築し,信頼性の高い表面電子構造の測定に成功した.尚,「試料輸送用マニュピレータ」は試料準備槽を金銭面の問題から準備することができず,購入を見送った. (2)Al/Si(111)系表面構造の蒸着温度・Al膜厚依存性をSTM観測により詳細に調べ,これまで確認されていない半単位格子ナノクラスター発見し,このナノ構造体がAl原子15個,Si原子6個から構成されることが分かった.さらには,.このナノ構造体がAlナノクラスターからγ相へ変化する中間状態として存在し,これまで明瞭な報告例のないγ相の表面構造をも明らかにすることができた.これらの研究成果は国内学会(1件)で発表し,雑誌論文にも投稿している.(現在査読中). (3)Alナノクラスターの表面電子状態をSTM/STS観測によって,高い表面絶縁性を示すことが分かった.また,極性の異なるSi(n・p型)表面上のAlナノクラスターが異なる電子状態を示し,その理由を探針誘導パンドベンディング効果を考慮した計算シミュレーショシから,キャリア濃度の変化と表面状態密度の減少が起因していることを明らかにした.これらの研究成果は国際・個内学会(計4件)で発表し,雑誌論文を執筆中である. これまでの成果報告を元に,来年度は絶縁体Alナノクラスター上に磁性体金属ナノクラスターを新なに作成し,クラスター間の電気磁気特性を測定することによって,ナノデバイス今野での有益な応用技術となるような研究成果を生み出したい.
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