2006 Fiscal Year Annual Research Report
食肉の熟成に伴うプロテオリシスとそのメカニズムに関する研究
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06J08334
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北村 慎一 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 食肉 / 熟成 / プロテオリシス / トロポニンT |
Research Abstract |
本年度は豚肉の熟成中に生じるプロテオリシスの解析を進めるにあたり以下に示す研究を行なった。 (1)これまで、熟成中に生じるトロポニンT分解に寄与するカルパインの作用について検討してきたが、カテプシン群の関与も強く示唆されるため、今年度は筋原線維に対するカテプシン群の作用について検討を進めた。カテプシン群の影響を検討するに当たり、まず粗酵素(カテプシンB,L,Hを含む)を調製し影響を調べたところ、生成された30kDaバンドが早い段階で分解されることが確認された。カルパインで行なった同様の実験では、30kDaバンドはあまり分解されていないことから、カテプシンはカルパインとは異なる分解様式を示すことが明らかとなった。今後はそれぞれのカテプシンの生成を行い、個別に検討を進めていくことにより、熟成におけるカテプシン群の作用を明らかにしていく。 (2)熟成中に生じるトロポニンT分解により、酸味抑制作用を有するペプチドの生成が知られており、熟成による呈味改善に少なからず寄与していることが考えられる。これまでの研究により酸味抑制ペプチドは特定のトロポニンTアイソフォームより生成することが明らかとされてきた。しかし筋肉部位により、トロポニンTアイソフォームの発現量が異なっており、筋肉部位による呈味性の違いに寄与する可能性が示唆された。そこで現在ミニ豚を用い、定量PCRを行なうことで主要筋肉組織間でのトロポニンTアイソフォームの発現量の比較を行なっている。 最終年度となる今年度は、以上の研究を進めるとともに、食肉の熟成中に生じるプロテオリシスについてさらに検討を進めたい。
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