2006 Fiscal Year Annual Research Report
希土類ホウ化物における四極子相互作用と幾何学的フラストレーションの競合
Project/Area Number |
06J08356
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
道村 真司 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 希土類ホウ化物 / 磁化 / フラストレーション |
Research Abstract |
これまで、ErB_4の磁化過程において出現する1/2M_Sプラトー(Ms=飽和磁化)が、ゼーマンエネルギーと磁気交換相互作用の競合の結果出現することを明らかにしてきた。 本年度は、希土類ホウ化物RB_4系の物性を明らかにするため、複数の希土類(R=Gd,Tb,Tm)に対して基礎的な物性(磁化、磁気抵抗、比熱)測定を進めた。 54Tロングパルスマグネット(パルス巾,30msec)を用いて行った高磁場磁化測定より、R=Gd以降、DyB_4,HoB_4も含め重希土類のRB_4ではc軸方向の磁化過程において、R=Gdを除きすべて1/2M_Sプラトーを有することが明らかになった。このことから、R=Gdを除く重希土類のRB_4では、ErB_4と同様にゼーマンエネルギーと磁気交換相互作用の競合が起こっていると考えられる。さらに、R=Tbでは1/2M_Sプラトーのみならず、1/3M_Sプラトー等の九つの分数プラトーが現れた。R=Tbにおける複数のプラトーについては現在考察中である。また、R=Er,Tmではc面内の磁化過程にも1/2M_Sプラトーが存在しており、磁化過程の特徴から以下のように分類できることがわかった。 (1)R=Gd 磁化プラトーをもたない。 (2)R=Tb c軸方向に1/2M_Sプラトーを含む九つの磁化プラトーが存在する。 c面内には磁化プラトーがなく、メタ磁性転移を示す。 (3)R=Dy,Ho c軸方向に1/2M_Sプラトーが存在する。c面内には磁化プラトーはない。四極子秩序相が存在する。 (4)R=Er,Tm c軸方向,c面内に1/2M_Sプラトーが存在する。 四極子秩序、磁気フラストレーション効果は今のところ見えていない。 来年度はRB_4におけるデータをまとめ、RB_4系のプラトー発生条件を突き詰めていく。
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Research Products
(5 results)