2007 Fiscal Year Annual Research Report
腐植物質の影響を考慮した水圏でのREEパターンの定量的解釈とREEの挙動解析
Project/Area Number |
06J08360
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 祐平 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 希土類元素 / 腐植物質 / 錯生成定数 / スペシエーション / 結合サイト |
Research Abstract |
本年度は以下のことを行った。 (1)希土類元素(REE)と腐植物質の錯生成反応を定量化について、昨年度まで行っていた溶媒抽出法以外に透析法を用いてREEと腐植物質の錯生成定数を決定し、値の信頼性のクロスチェックを行った。各実験法によって得られた錯生成定数の絶対値は非常によく一致した。しかし溶媒抽出法で見られたREEと腐植物質の濃度比(loading)の変化に伴う錯生成定数のREEパターンの変化が透析法では見られなかった。これは実験の際に共存する他の多価陽イオンが実験法によって腐植物質中の存在量が変化することが原因と考え(2)の実験を行った。 (2)腐植物質中には多くの陽イオンが元々含まれており、それらはREEのような微量元素の錯生成反応に影響を及ぼすと考えられる。溶媒抽出法では腐植物質の競合配位子として強力な抽出剤(ジエチルヘキシルリン酸)を使用しているが、透析法では強力な競合配位子は実験系に存在しない。そのため透析法では腐植物質中に多くの陽イオンが残るため、バックグラウンドのloadingが上昇し、マイナーなキレートサイトの影響が見られないのではと推測した。競合陽イオンの中でとくに存在量が多く腐植物質との親和性が強いFeに着目し、腐植物質中のFeの存在状態をXAFS法を用いて解析した。その結果Feは腐植物質中に有機錯体として存在し、キレート構造を持って腐植物質に結合していることが分かった。これらのことからFeを除去した場合にのみ、REEがキレートサイトに結合し、Feが多く残った系ではモノカルボキシル基と結合していると考えられる。 蛍光分光XAFS法を用いて低濃度ウランについてXAFSスペクトルを得ることを試みた。1ppm前後の低濃度試料についてXANESスペクトルを得た。REEにも適用が可能であり、応用を検討中である。
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Research Products
(3 results)