2008 Fiscal Year Annual Research Report
腐植物質の影響を考慮した水圏でのREEパターンの定量的解釈とREEの挙動解析
Project/Area Number |
06J08360
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 祐平 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 希土類元素 / 腐植物質 / 錯生成定数 / スペシエーション / 結合サイト / 鉄 |
Research Abstract |
本年度は以下のことを行った。 (1)これまでの研究で得られたREEと腐植物質の錯生成定数はみかけの定数であったので、モデル計算に使用するために電場の項を排除し真の定数を決定した。また真の定数はpH、イオン強度変化についてはほぼ一定であるが、REEと腐植物質の比(REE loading)の変化については大きく変化することが示された。これは腐植物質中のREEの結合サイトがREE loadingの変化に伴い変化していることを反映している。 (2)希土類元素(REE)と腐植物質の錯生成において競合するFeの量及び存在状態が重要であることが昨年度の研究から示された。様々な金属イオンと腐植物質の錯生成定数決定に用いられる標準腐植物質試料中のFeの存在状態をXAFS法を用いて決定した。その結果Feは3価のカルボン酸で存在することが分かり、錯生成モデル(Model VI)を用いて微量金属イオンの錯生成に及ぼす影響を評価した。これらの結果を国際誌投稿し受理された。 (3)天然環境中において腐植物質中のFeは水酸化鉄の状態でも存在する。腐植物質と水酸化鉄が相互作用した際のREEと腐植物質の錯生成定数がどのように変化するかをバッチ吸着実験と透析実験を用いて調べた。高腐植物質/水酸化鉄比の条件では吸着した腐植物質とREEの錯生成定数に変化は見られなかった。一方低腐植物質/水酸化鉄比の条件では錯生成定数に変化が見られた。これは腐植物質が水酸化鉄に吸着する際に不均一に固液分配していることを反映している。 天然水中におけるREEの存在状態を考える上で様々化学状態の鉄と腐植物質の相互作用は非常に重要であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)