2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物の青色光センサータンパク質における光シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
06J08383
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 達也 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フォトトロピン / 赤外分光法 / LOVドメイン / FMN / 生物物理学 |
Research Abstract |
植物の青色光センサータンパク質であるフォトトロピンは、発色団であるFMNを結合した光受容ドメインを2つ(LOV1、LOV2ドメイン)とセリン・スレオニンキナーゼドメインからなる。ウォトトロピンのキナーゼドメインの制御にはLOV2の光反応が重要であり、LOV1は直接関与していないことが報告されている。本研究の目的は、「フォトトロセンの光活性化過程(光受容からリン酸化活性に至る分子内シグナル伝達過程)を、原子レベルで明らかにすること」である。 平成19年度は、昨年度に引き続きLOVドメインの光照射に伴う構造変化の解析を行った。私はこれまでに、ホウライシダのフォトトロピンの一種であるネオクロム1のLOV2ドメイン(neol-LOV2)の活性化状態(S390)と基底状態の低温フーリエ変換赤外分光法による研究を行い、S390のタンパク質の構造は温度依存性があることを見出した。生理学的温度では、1640-1620cm^<-1>のアミドI領域に変化が現れ、β-シート領域に構造変化が現れることが示された。このような変化は、低温で生成するS390においては大きく抑制された。この発見は唯一の活性状態であるS390において、漸進的な構造変化が起こっていることを示唆している。ここに、我々はneol-LOV2のアミドI振動の水和量依存性が、アミドI振動の温度依存性と似ていることを明らかにした。試料への水和量が減少していくにつれて、1640-1620cm^<-1>のアミドI振動が著しく減少した。その代わり、低温と同様に、ループ領域の水素結合が弱くなったことを示す1694cm^<-1>のアミドI振動が新たに現れた。低水和量と低温のスペクトルが一致していることから、タンパク質の構造変化はこれらの条件では制限されている事が強く示唆された。おそらくタンパク質の揺らぎがneol-LOV2の活性化状態の形成に不可欠なのであろう。
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Research Products
(7 results)