2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物の青色光センサータンパク質における光シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
06J08383
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 達也 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フォトトロビン / 赤外分光法 / LOVドメイン / FMN |
Research Abstract |
フォトトロビンは植物の青色光センサータンパク質である。フォトトロビンは、発色団であるFMNを結合した光受容ドメイン(LOVドメイン)を2つとセリン・スレオニンキナーゼドメインを持ち、青色光依存的にキナーゼ活性を発現する。本研究の目的は、「フォトトロビンの光活性化過程(光受容からリン酸化活性に至る分子内シグナル伝達過程)を、原子レベルで明らかにすること」である。 平成18年度の研究予定として、フォトトロビンの光受容ドメインであるLOVドメインに焦点をあて、その光照射に伴う構造変化の解析を目指した。最初に、LOVドメインのFMNとアポタンパク質の再構成法を確立する必要があったが、これまでに報告されていた方法を改良し、赤外分光に供与できる程度に高効率な再構成法を見出した。この方法を用いて、熊本大学の志賀潔教授、二科安三教授らが合成した部位特異的13CラベルFMNを再構成し、その再構成試料からFMNのC=0基の構造変化に関する情報を得ることができた。また、アポタンパク質の13Cラベル体を作製し、タンパク質骨格の二次構造の構造変化に由来するシグナルを特定した。その結果、FMNのC2=O、C4=O基は、ともに光反応後にその水素結合を弱めることがわかった。また、タンパク質骨格は、低温ではループ部分が水素結合を弱めるのに対し、室温では逆に強めることがわかった。αヘリックスは水素結合が弱くなり、βシートは水素結合が強くなることがわかった。このような構造変化がキナーゼドメインヘの活性制御のスイッチとなっている可能性を示唆した。この結果は原著論文3として発表した。 その一方で、変異体による解析は現在進行中であり、計画通りとはいかなかった。平成19年度中には構造変化に重要な役割を果たしているアミノ酸残基についての知見を得られるべく努力していく。
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Research Products
(3 results)