2006 Fiscal Year Annual Research Report
南北朝後期・隋唐時代における華夷意識の変容と南朝系官僚の動向
Project/Area Number |
06J08425
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
会田 大輔 明治大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 南北朝 / 北周:隋:唐 / 『周書』 / 宇文護 / 関隴集団 / 南朝系官僚 / 石刻資料 / 歴史像 |
Research Abstract |
2006年度は、年次計画に沿い、以下の三点の研究を進めることができた。 1 「北周政治史研究」:北周前半期に実権を握った宇文護に関する研究を進め、その成果を第37回五胡の会(2006年7月30日)で、「北周宇文護執政期の婚姻政策」と題して報告し、続いて第30回内陸アジア・イスラム研究者集会合宿(2006年8月20日)で、「北周宇文護執政期再考-人材抜擢・腐敗問題を中心に-」と題して報告した。その結果、腐敗した独裁政権という従来の宇文護執政期評価が誤りであり、むしろこの時期に胡族・漢族を包括する協力体制が敷かれたことが明らかとなった。 2 「隋唐における南北朝歴史像」:『周書』の北周歴史像を今析し、その成果を中国中世史研究者フォーラム例会(2006年11月4日)で、「令狐徳〓等撰『周書』の西魏北周像-宇文護・武帝像を手がかりに-」と題して報告した。『周書』と隋唐の諸史料を比較した結果、『周書』において宇文護執政期の評価が既められた一方で、武帝の評価が高められていたことが判明した。その背景には、唐室李氏が、唐室および北周出身者(関隴集団)の権威を「創出」するために、西魏北周の顕彰をはかり、武帝を英雄化した可能性が考えられる。また、隋に仕えた宇文述の墓誌を分析し、明治大学新収中国石刻貴重拓本展H「出展拓本をめぐる研究セミナー」(2007年3月28日)で、「「宇文述墓誌」紹介」と題して報告した。その結果、宇文述の一族の出自意識が正史と異なっていることが判明した。 3 「北朝隋唐の南朝系官僚の動向」:北周の{鬼偏政権である後梁を建国した薫管が、『周書』中でどのように描かれているかを分析し、「蕭〓の「遣使称藩」に関する-考察-『周書』に描かれた蕭〓像をめぐって-」(『文化継承学論集』3、2007年3月)にまとめた。その結果、『周書』の編纂者で、南朝系官僚の岑文本が、蕭〓の孫で唐の高官であった蕭〓のために、蕭〓を顕彰したことが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)