2006 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体AhRの機能解析による水棲鳥類ダイオキシン曝露のリスク評価
Project/Area Number |
06J08490
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安井 知子 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水棲鳥類 / Aryl hydrocarbon receptor / ダイオキシン類 / 結合能 / ショ糖密度勾配沈降法 / 小麦胚芽抽出液 / 表面プラズモン共鳴解析 |
Research Abstract |
本研究はクロアシアホウドリならびにカワウのaryl hydrocarbon receptor(AhR)アイソフォーム、AhR1ならびにAhR2の機能評価を目的としている。本年度では特に、ダイオキシン類と各AhRアイソフォームの結合親和性を評価した。 まず、in vitroでAhRタンパク質を発現させた後、ショ糖密度勾配沈降法を用いて[^3H]TCDDに対する結合能を評価した。その結果、ニワトリと同様に、アホウドリならびにカワウAhR1、AhR2は[^3H]TCDDに特異的に結合した。さらに、各AhRの転写活性化能評価やmRNA発現量の解析から、鳥類ではダイオキシン類曝露によるCYP1A誘導は主にAhR1が寄与していることを明らかとした。このため、各AhR1の結合解離定数(Kd)を算出し、[3H]TCDDに対する結合強度を定量的に比較した。その結果、ニワトリAhR1が最も結合力が高く、ついでアホウドリAhR1、カワウAhR1の順であることを明らかとした。以上の研究成果の一部は2006年11月に国際シンポジウムで口頭発表し、Presentation Awardを受賞した。 さらに、小麦胚芽抽出液を用いて各AhRタンパク質を合成した後、表面プラズモン共鳴解析を用いたAhRと化学物質の結合評価法の確立を試みた。この手法はショ糖密度勾配沈降法と比べ、より幅広い化学物質との結合能を迅速に評価でき、さらに放射性同位元素を用いないため試験者の負担を軽減することができる。この研究は愛媛大学総合科学研究支援センターと合同で実施した。その結果、小麦胚芽抽出液を用いて、ニワトリAhR1ならびにパートナータンパク質のAmtの合成に成功した。さらに、AhR/Amtが認識するDNA配列を持つオリゴに対して、AhRリガンドであるβ-ナフタフラボン依存的・AhR依存的な結合を表面プラズモン共鳴解析によって確認した。
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Research Products
(1 results)