2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08527
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
砂原 庸介 Osaka University, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガバナンス / 地方政府 / 中央地方関係 / 知事-議会関係 / 地方分権改革 |
Research Abstract |
本年度は,第一に,地方政府の政策決定を規定する「ゲームのルール」として最も重要であると考えられる,中央地方関係についての経験的な研究を行った。対象となるのは,「ゲームのルール」の変更に大きなインパクトをもたらしうる地方分権改革である。1990年代に本格化した地方分権改革について,歴史的な経緯から現在の地方分権改革推進委員会の議論に至るまでその内容を調査したうえで,本年度は特に小泉政権下の地方財政改革(三位一体の改革)の政治過程について検討した論文を執筆し,公共政策学会の学会誌に掲載された。 第二に,現在の「ゲームのルール」のもとで,都道府県レベルの地方政府における知事-地方議会の特徴や両者の関係が政策にどのような影響を与えることになるかについての実証分析を進めた。まず,都道府県における知事-地方議会の特徴や両者の関係を独立変数として,ダム事業の廃止という意思決定と2000年の地方分権一括法施行後の法定外税・超過課税の導入という意思決定の関係を説明する論文を執筆した。両者は政策の廃止と新規事業の実施というかたちで現状からの変化を引き起こす限界的な意思決定であり,これらの意思決定に対して,異なる選挙制度を通じて有権者である地域住民から委任を受けた知事・地方議会という地方政府の二元代表が,選挙制度から予想されるような利益に基づいて意思決定に関与することが示唆された。 さらに,1990年代以前の地方政治における保守勢力と革新勢力の対立という政党間競争が1990年代以降変質したことに注目し,都道府県ごとの政党間競争の激しさと「中立」とされる独立行政委員会(ここでは教育委員会)の人事の関係を議論する論文を執筆した。この論文を通じて,地方政府内での政権交代の可能性を高める地方政治における政党間競争が,「中立」とされる行政委員会の人事の在り方に影響を与える可能性が示された。
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Research Products
(4 results)