2007 Fiscal Year Annual Research Report
メディアコミュニケーションの社会的影響過程に関する研究:社会関係資本論の観点から
Project/Area Number |
06J08539
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
五十嵐 祐 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 社会関係資本 / 社会的ネットワーク / CMC |
Research Abstract |
本年度は、社会関係資本の構成要素として重要な社会的ネットワークに注目し、その構造の文化差および心理的インパクトについての検討を行った。まず、他者一般に対する信頼感と特定の相手に対する関係志向性が、大学生の友人関係のネットワーク構造およびダイアド・レベルの同質性をどのように規定するのかについて、文化間で比較検討を行った。分析の結果、社会的ネットワークの構造については一般的信頼感の通文化的な影響が示されたのに対して、ダイアド・レベルの同質性については、社会的流動性の高い信頼社会(イギリス、オーストラリア、ドイツ)では一般的信頼感の影響が強く、コミットメント関係を重視する安心社会(日本、韓国)では関係志向性の影響が強いことがそれぞれ明らかとなった。これは、個人や集団のパフォーマンスや適応を高める社会関係資本としての社会的ネットワークの様態や規定因が、文化によって異なる可能性を示唆するものである。 また、コミュニケーションメディアを通じた対人関係のネガティブな影響を明らかにするため、日本の高校生を対象として、携帯メール依存に関する調査を行った。携帯メールの「過剰な利用」に関する認知は、外向的なパーソナリティ特性と、「脱対人コミュニケーション」は神経症傾向的なパーソナリティ特性とそれぞれ関連していた.したがって,携帯メール依存には、他者とのコミュニケーションが活発であり,メールを多く送信してしまうために日常生活に支障が出る「外向的メール依存」と,対面でのコミュニケーションが苦手であり,その代替として,非対面,非同期的な文字コミュニケーションを過度に用いる「神経症的メール依存」の2つのタイプがある可能性が明らかとなった。このことは、高度情報化社会における「負の社会関係資本」としての携帯メールの社会的ネットワークの心理的インパクトを示すものといえる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Culture, trust and social networks2008
Author(s)
Igarashi, T., Kashima Y., Kashima, E.S., Farsides, T., Kim, U., Strack, F., Werth, L., & Yuki, M.
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Journal Title
Asian Journal of Social Psychology 11
Pages: 88-101
Peer Reviewed
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[Presentation] Culture, trust and social networks.2007
Author(s)
Igarashi, T., Kashima, Y., Kashima, E.S., Farsides, T., Kim, U., Strack, F., Werth, L., & Yuki, M.
Organizer
Annual meetings of the Japanese Group Dynamics Association
Place of Presentation
名古屋大学
Year and Date
2007-06-16
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