2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08553
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小口 理一 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光合成 / 光阻害 / 光順化 / 光化学系 / 集光能力 / 過剰エネルギー / 修復能力 / 波長 |
Research Abstract |
光阻害のメカニズムは、対立する諸説がある。これには使用する材料が多様であるうえに、実験を行う状況も単離チラコイド膜、リーフディスク、切り葉を用いたりと多様なことが一因となっている。本研究では自然状態での光阻害メカニズムを明らかにするために、植物個体から葉を切り離さずに実験を行う。 植物は壊れた光化学系(PS)を修復する機能を備えているため、光阻害のメカニズムを明らかにするためには修復系を阻害剤で停止する必要がある。本研究では葉を切り離さずに阻害剤を与えるために、葉を阻害剤でパッキングして阻害剤を浸透させる方法と水耕栽培の根から阻害剤を与える方法を試み、どちらの方法でも修復系を停止させることが可能であった。 光阻害の程度を正確に調べるためには、酸素電極を用いる必要があるが、これにはリーフディスクを用いる必要があるため、葉を切り離さずに光阻害の程度を測定する方法を確立する必要があった。そのため酸素電極でのPSIIの活性の測定と、葉を切り離さずに測定が可能なPSIIの蛍光を用いる測定、PSIの吸収波長変化を用いる測定との相関を調べた。PSIIの蛍光を用いる測定では測定光が葉の奥深くまで入り込まないために、光を受ける側である葉の表側の活性だけが低下しているような場合に測定に差が出た。これを補正するには葉の裏側からも測定を行う必要がある。一方、PSIの吸収波長変化を用いる方法では、葉全体の吸収波長の変化を見ているために、上記のような差は見られなかった。これらの研究は渡航先であるオーストラリア国立大学のChow教授の下でChow教授とLosciale氏との共同研究という形で行った。研究結果は彼らとの共著として近く投稿できると考えている。 自然条件での光阻害の測定方法が確立できたので、光阻害のメカニズムについての研究をこの測定方法で行うことにした。実験は今現在進行中である。
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Research Products
(1 results)