2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08553
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小口 理一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光合成 / 光阻害 / 光順化 / 順化能力 / 種間差 / 環境応答 / 葉緑体 / 光化学系 |
Research Abstract |
以下の2点を工夫した実験系を考案し実験を行った。1.過剰なエネルギーが生じない30μmolm-2 s-1ほどの弱半ではexcess energyメカニズムによる光阻害は起きないのに対しtwo-stepメカニズムによる光阻害は起きるため、この光環境での光阻害を測定することでtwo-stepメカニズムによる光阻害の大きさを推定できる。また、過剰エネルギーが高まる強光環境での光阻害強度と比較することで、excess energyメカニズムによる光阻害への寄与の推定も可能である。2.excess energyメカニズムではクロロフィルによる吸光が光阻害の原因となるのに対しtwo-stepメカニズムではマンガンによる吸光が光阻害の原因であるが、クロロフィルとマンガンでは吸収スペクトルが大きく異なる。クロロフィルは青色と赤色域に極大吸収波長があるため、excess energyメカニズムでは青色と赤色で緑色に比べて光阻害が大きくなるはずであるが、マンガンは紫外線域に極大吸収波長があり、青色から赤色にかけて吸光度が低下していくためtwo-stepメカニズムでは青色、緑色、赤色の順に光阻害が大きくなると考えられている。よって、異なる色のLED光源を用いた光阻害実験により、各メカニズムの影響の大きさを推定することができる。 光阻害処理は、白色.青色、緑色、赤色LEDを用いて、弱光、中光、強光環境で行った。受光量あたりの光阻害の強度は、弱光や中光よりも強光で有意に高くexcess energyメカニズムによる貢献を示した。一方で、過剰エネルギーがほとんどない弱光や中光でも光阻害は起きており、光阻害の強度が青色、白色、緑色、赤色の順で高かったことはtwo-stepメカニズムによる貢献を意味する。これらの結果から、excess energyメカニズムとtwo-stepメカニズムの両方が同時に起きていることが支持された。
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Research Products
(5 results)