2007 Fiscal Year Annual Research Report
クラスレート化合物のクラスター欠陥構造と熱電特性に関する研究
Project/Area Number |
06J08597
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 範彦 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クラスレート化合物 / 熱電変換材料 / 水素吸蔵材料 / ラトリング運動 / 格子熱伝導率 / 粉末X線回折 / 走査型透過電子顕微鏡法 |
Research Abstract |
(1)Type-Iクラスレート化合物Ba_8Ga_<16>Ge_<30>中のGaをInにより置換し,熱電変換特性を温度およびIn添加量の関数として測定した結果,6In添加材において無添加材の無次元熱電性能指数(ZT=0.49)の倍以上のZT=1.03という高い値を得た.構造解析を行った結果,この熱電変換特性の向上は,In添加による結晶格子中の3次元ケージ構造の変化と,In原子のケージサイトの占有挙動により説明することができた. (2)新規に合成した水素吸蔵Na-Si系およびK-Si系クラスレート化合物の構造解析を行い,水素吸蔵特性を決める因子である内包Na(K)原子サイトの占有率を,走査型透過電子顕微鏡(STEM)像強度から決定した. (3)赤外線検出器として利用されるII-VI半導体の人工超格子(HgTe/CdTe)をSTEMおよび電子エネルギー損失分光法を用いて解析することにより,新種の欠陥を発見した.その欠陥は,超格子成長時に格子ミスマッチにより導入されたフランク転位ループが上昇運動した後に残ったものと考えられ,原子拡散理論に基づいた欠陥生成メカニズムを提案した. (4)低ドースSTEM-HAADF(High Angle Annular Dark-Field)法によるサブナノメートルサイズの触媒クラスターの精密なサイズ分布測定法の開発を行った.低ドース電子線を用いることによりナノクラスターの振動を抑制する一方で,人工的な「ぼかし」を施してノイズを平坦化し,その他のあらゆる実験的な「ぼけ」の伝播を考慮することでクラスターのサイズ情報を得るという方法を考案した.この新規の方法を用いて,シグナル・ノイズ比の小さい低ドースSTEM-HAADF像から,Os_3(CO)_<12>(最大径:0.3nm)などの極めて小さなクラスターのサイズを正確に測定できることを実証した.
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