2006 Fiscal Year Annual Research Report
赤外共鳴の和周波発生と近接場光学による分子イメージング及び分子選択的加工法の研究
Project/Area Number |
06J08606
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田口 敦清 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / 散乱型プローブ / 金属プローブ / プラズモン共鳴 / 銀ナノ結晶 / 増強電場 / ポリポール法 / 近接場ラマン分光 |
Research Abstract |
高分解能,高感度の分子イメージングを行うために,和周波を近接場で効率良く発生・散乱させる近接場プローブの作製を行った.新たに作製したプローブは,大きさが数10ナノメートルの銀の単結晶をシリコン製チップの先端に取り付けてプローブとする.銀ナノ結晶の形状およびサイズを制御することにより,プラズモン共鳴波長をチューニングし,和周波発生効率および散乱効率を最大化する.また,銀の単結晶は,多結晶に比べてプラズモン励起効率が高く,高い電場増強度が得られる.さらに,銀ナノ結晶の結晶面が既知であることから,銀原子と分子との相互作用を詳細に解析することができる. 銀ナノ結晶の作製はポリオール法を用いて行った,ポリオール法は,加熱した多価アルコールの還元力を用いて硝酸銀を還元し,銀ナノ結晶を析出させる方法である,多価アルコール中に溶解したキャッピング剤が銀ナノ結晶の結晶成長をコントロールし,得られる銀ナノ結晶の形状を様々に変化させる.具体的には,析出した銀ナノ結晶とキャッピング剤との相互作用が,銀ナノ結晶の結晶面によって異なることを利用し,結晶の成長方向に異方性を生じさせ,これが最終的に得られるナノ結晶の形状を決める,銀ナノ結晶のサイズは還元反応時間で制御する. この方法を用いて,立方体,ピラミッド,ワイヤ,ロッドなど種々の形状の銀ナノ結晶を作製した.また,反応溶液の混合比や,酸化的エッチングによる結晶核形成の選別を行い,特定の結晶形状を高い収率で作り分けることを行った.作製した銀ナノ結晶の可視吸収スペクトルから,銀ナノ結晶の形状・サイズに特徴的なプラズモン共鳴が現れていることを確認した.さらに,合成した銀ナノ結晶を使ってSERS基板を作製し,銀ナノ結晶にラマン活性があることを確認した.このプローブは作製過程の再現性も高く,近接場ラマン分光法など他の近接場分光のプローブとしても広く用いることができると考えている.
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