2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫応答におけるIкB kinaseを介した新規シグナル伝達機構の探索と解析
Project/Area Number |
06J08640
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斉藤 達哉 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自然免疫 / シグナル伝達 / 病原体 / 転写因子 / IκB kinase |
Research Abstract |
自然免疫応答において重要な役割を果たす転写因子であるIRF-3/7が、IκB kinase familyに属するTBK1,IKK-iにより活性化されるシグナル伝達経路の解析を試みた。その結果我々は、リン酸化された蛋白質のセリンノトレオニンとそれに続くプロリンを認識して結合し異性化反応を誘導する酵素であるPin1が、IRF-3のシグナル伝達機構を制御することを見出した。現在までに、pin1はその酵素活性により蛋白質の安定性や局在を制御することで癌や神経変性などの様々な難治性疾患に深く関わっていることが示されている。しかしながら、Pin1が自然免疫応答をどのように制御しているのかは明らかではなかった。そこで二重鎖RNA刺激、RNAウイルス感染により誘導されるIRF-3シグナル伝達機構について解析を行った結果、Pin1を発現させるとその発現量に依存してIRF-3依存的な転写活性化が抑制されることが明らかとなった。さらに、Pin1の発現は二重鎖RNAによりIRF-3依存的に活性化されるIFN-betaプロモーターの活性化を抑制した。また、RNA interferenceによりPin1の発現量を低下させるとIRF-3依存的な転写活性化は促進された。GST pull-down解析の結果、Pin1がIRF-3のリン酸化Ser339-Pro340と結合することが明らかとなった。Pin1を発現した細胞では二重鎖RNA、RNAウイルス感染によって誘導される二量体IRF-3が減少しており、またPin1の発現はIRF.3の減少を促進したことから、Pin1は活性化されたIRF-3の安定性を制御していると考えられる。以上の結果から、Pin1がIRF-3活性化の終結に寄与する負の制御因子であり、自然免疫応答を制御していることが示された。
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Research Products
(4 results)