2006 Fiscal Year Annual Research Report
1分子計測およびX線結晶構造解析による回転分子モーターV1の回転メカニズムの研究
Project/Area Number |
06J08645
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今村 博臣 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 1分子計測 / 分子モーター |
Research Abstract |
本年度は,以下の研究を主におこなった. まず,V1とF1のどの部分の違いが原因で,両者の回転スキームに違いが出てくるかを調べるために,V1とF1のハイブリッドの作製を試みた.すなわち,(1)加水分解部位がF1で回転子がV1のハイブリッド,および(2)加水分解部位がV1で回転子がF1のハイブリッドである.そのために,V1とF1の両方のサブユニットの遺伝子を大腸菌で発現させる系を構築した.その結果,各サブユニットの発現は確認できたものの,ハイブリッドとなった複合体の形成は全く確認できなかった.これは,回転子と加水分解部位の間の立体構造認識がかなり厳密である事を示唆しており,V1とF1のハイブリッドの作製は現状では困難だと考えられた. 続いて,V1のATP加水分解反応と回転における力発生の関係を調べるため,磁気によってV1の回転子の回転を強制的に動かすまたは止める実験をおこなった.V1は回転の途中で,しばしば長時間停止することが観察された.この停止はATPの加水分解産物であるADPがV1に阻害的に結合した状態と考えられた.この停止状態にあるV1の回転子を,磁気ピンセット(Hirono-Hara et al.,PNAS 2005)を用いて強制的に回転させたところ,停止状態から回転状態に回復する事が見いだされた.この結果から,V1もF1と同様に外力によって化学反応速度を制御できる事が示された.
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Research Products
(1 results)