2007 Fiscal Year Annual Research Report
ATP合成酵素のFOモーターの1分子回転観察-平面膜による膜電位の制御-
Project/Area Number |
06J08646
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上野 博史 Osaka University, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 1分子計測 / 分子モーター / 平面膜 |
Research Abstract |
本年度は、ほぼ無負荷に近い微小な回転プローブと高速度カメラを用いて、低粘性抵抗条件下でのFoの回転を高速観察するのに必要な新しい暗視野顕微鏡システムの構築を行った。このシステムを利用することによりサブミリ秒オーダーにわたる詳細な回転機構を明らかにできると期待される。 この新しい暗視野顕微鏡システムでは、対物レンズ側からレーザー光を導入し、サンプルとスライドガラスの界面で起きる全反射現象により形成されるエバネッセント光を照明光として利用した。入射レーザー光と反射レーザー光は従来ダイクロイックミラーを入れる場所に特殊なミラーを入れることによりカットした。このミラーは中心部だけが楕円状にミラーコーティングがされておらず、微小回転プローブの散乱光だけがこの部分を透過するので背景の暗い暗視野像が得られる。これまでのところ20nmの金コロイドを毎秒109500フレームで撮影することに成功している。これは現存用いている高速カメラの最高撮影速度であり、より速い撮影速度を持つカメラを用いれば現在のシグナル強度であればさらなる高速撮影が可能である。この新しい暗視野システムは既存のエバネッセント蛍光顕微鏡のダイクロイックミラーをこの特殊ミラーに置き換えるだけで実現できるので非常に簡便である。しかも従来の暗視野顕微鏡で用いるような暗視野コンデンサーが必要ないので、(倒立顕微鏡の場合)ステージ上部のスペースが利用でき、ディッシュ培養下の細胞の暗視野イメージング等も可能である。また照明にエバネッセント光を用いているので被写界深度が浅くなり観察対象以外からの背景ノイズが減るとともに、従来のレーザー暗視野像に比べて干渉縞も軽減した。さらにこのシステムは蛍光も観察することができ、同じ光源を用いて散乱光と蛍光の同時イメージングが実現できた。
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