2007 Fiscal Year Annual Research Report
機械的破断接合法による単一有機分子の光スイッチング特性評価に関する研究
Project/Area Number |
06J08647
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 真楠 Osaka University, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 単分子電気伝導 |
Research Abstract |
本年度の研究目標である,非弾性トンネル分光測定による単分子識別の実現には,安定な単分子接合の形成が不可欠である.そこでまず,昨年度立ち上げを行った微細加工MCBJ (Mechanically-controllable break junction)を用い,安定な単原子・分子接合の形成条件を模索すると共に,室温下における接合の熱・応力破断機構を調べた.その結果,室温下において接合は熱的に破断すること,安定な接合の形成にはサブピコメートルレベルの機械的安定性が必要となることなどを明らかにした.なおこの測定技術は,単分子接合の潜在的な熱・電気的耐久性評価を可能にするものであり,単分子デバイスの信頼性評価において有用な手法となることが期待できる. 上記の実験を通して得られた知見を元に,低温(77K)下において,金-ベンゼヒジチオール単分子接合を対象として,安定な単分子接合の形成・保持を行うと共に,非弾性トンネル分光測定を試みた.はじめにピコアンメータを用いた電流-電圧特性測定を行い,伝導電子とベンゼンジチオールのC-S伸縮振動とのカップリングに対応した電気伝導度の変化が検出された.更に,より高精度での電流測定が可能なロックインアンプを導入した測定系を用い,振動スペクトルを計測したところ,同様の振動スペクトルが得られた,以上の結果から,非弾性トンネル分光測定により,単分子識別が可能であることを実験的に示すことに成功した.
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Research Products
(7 results)