2008 Fiscal Year Annual Research Report
原子核媒質中におけるハドロンの性質とカイラル対称性の回復
Project/Area Number |
06J08661
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
永廣 秀子 Nara Women's University, 理学部, 助教
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Keywords | カイラル対称性 / 中間子原子核生成 / 光崩壊 |
Research Abstract |
本研究は、カイラル対称性の観点から、中間子や中間子と原子核が構成する系の構造・性質を明らかにすることを目指し、QCDで非常に重要な役割を果たすと思われるカイラル対称性とその破れの機構について明らかにすることを目的とした。本年度は、特にエキゾチックハドロンと呼ばれる共鳴状態に注目した。近年、従来考えられていたような単純な3quarkもしくは、quark-反quark対の描像では説明できない共鳴状態がいくつか実験的に発見されてきた。そのようなエキゾチックな状態は、4quark以上のマルチクォーク状態や、複数のよりエネルギーの低いハドロンの分子状態として記述されるのではないかと考えられている。本研究では、軸性ベクトル中間子に注目した。この中間子がカイラル対称性を持つ有効模型を用いてベクトル中間子と擬スカラー中間子の束縛状態として記述されるという立場に立ち、その光崩壊幅の評価を行うことで、こゐ軸性べクトル中間子がどのような状態であるべきなのか、その実験的な検証の可能性を探った。 また、カイラル対称性の回復と関係すると考えられているω中間子の質量変化を観測することを目的として、π中間子入射ビームを用いたω中間子原子核束縛系の生成可能性について評価を行い、それが現実の実験で観測可能であることを示した。具体的に実験研究者との議論を行い、当該実験の実現可能性についても議論を行った。
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