2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08665
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
明 孝之 Osaka University, 核物理研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 核力 / 中性子ハロー構造 / 核構造 |
Research Abstract |
本年度は軽い原子核におけるテンソル相関の性質を調べた。研究成果は主に以下の2点である。 1.中性子ハロー核におけるテンソル相関の役割 本研究では、中性子ハロー構造を呈する^<11>Liとその周辺の原子核(^9Li,^<10>Li)におけるテンソル相関の役割を系統的に調べた。特に^<11>Liでは中性子の魔法数8が消滅しており、従来の核構造の知識では理解できなかった。これに対して我々は、従来まで繰り込む形式で取り扱われてきたテンソルカの効果を、あらわに扱うことで魔法数の破れを初めて自然に説明した。同時にLi同位体について、これまで観測されている様々な物理量について、高い再現性を示した。 2.テンソル相関と短距離相関を記述する核模型の構築 本研究では、前年度、核力の重要な要素であるテンソルカを核構造に顕わに記述する手法を開発し、その成功を示してきた。我々はその手法をテンソル最適化殻模型(Tensor-optimized shell mode; TOSM)と呼んだ。本年度は、核力が持つもう1つの重要な相関である短距離斥力芯の効果を核構造に考慮した。手法にはユニタリー相関演算子法(Unitary Correlation Operator Method; UCOM)を用いた。TOSMとUCOMを組み合わせることにより、自由空間の核力から出発した、第一原理計算が可能になる。実際の計算結果では、原子核の厳密解に対して、テンソル相関と短距離相関の両者を考慮することにより、非常に高い再現性を示すことができた。
|