2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08693
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小堀 聡 大阪大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本経済史 / 高度経済成長 / エネルギー節約 / エネルギー政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本におけるエネルギー革命の特質、すなわちその急速性および徹底性の主体的条件を明らかにすることであり、とくに日本のエネルギー政策がエネルギー革命の進展に与えた影響を考察することに力点をおいている。諸々のエネルギー政策のなかで、平成18年度には、(1)1920-60年にかけて、工場におけるエネルギー原単位の向上を目的として実施された熱管理やその進展を促す熱管理政策、(2)1950年代における原重油供給能力の拡大策とその影響についてそれぞれ研究した。 (1)については、経済産業省・国立公文書館・国立国会図書館・横浜市史編集室・大分大学経済学部教育研究支援室の所蔵資料を調査した。調査結果の一部は、戦間期から1950年代にかけての熱管理政策に関する論文(計2本)として公表された。これらの論文では、戦間期に大阪府などの地方自治体が燃料消費者の燃焼方法・設備の改善を促す燃焼指導を開始したこと、30年代には燃焼指導が他の地方地自体や商工省にも普及したこと、そして燃焼指導が戦時期から50年代にかけて熱管理運動・熱管理政策へと発展を遂げたことを具体的に明らかにした。また、鉄鋼業に着目して企業・業界レヴェルにおける熱管理への取り組みについても研究し、日本の鉄鋼業が20年代から50年代にかけてエネルギー節約に積極的に取り組んだことを確認した。 (2)については、海事資料センター・国立国会図書館・京都大学経済学部図書館・横浜市史資料室などの所蔵資料を調査した。今年度の調査を通じて、大型タンカーの整備・石油輸入港湾の湊漢に代表される重油需要増大に対応するための投資が1956年度後半以降本格的に開始されたこと、これらの投資は意志決定の速いトップダウン型の企業によって先導され、ついで産業政策を通じて促進されるようになったことが明らかにされた。
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Research Products
(2 results)