2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属酵素における多核遷移金属中心の電子状態についての理論的研究
Project/Area Number |
06J08762
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
庄司 光男 大阪大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多核金属錯体 / 金属酵素 / 磁気的相互作用 / スピン構造 / 電子状態 / 第一原理計算 / 鉄硫黄クラスター / 混合原子価 |
Research Abstract |
生体内の化学反応は酵素によって非常に高効率に触媒されている。中でも多核金属中心を持つ金属酵素は多段階の強い酸化還元反応に関わっているため、その電子状態や反応機構が現在非常に注目を浴びている。 しかしながらこの様な多核金属中心の電子状態は依然として明らかになっていない。それは実験的手法では解明しきれず、多くの実験結果から総合的に判断するしか無いためである。一方、ab initio計算は非常に計算コストがかかるためほとんど適用させていない。特に多核金属中心のような巨大系に対してスピン状態と電荷状態が複雑に絡む電子状態(混合原子価状態)を記述するのは、現在のab initio計算手法では不可能である。 そこで所属研究室で開発してきた一般化スピン軌道(GSO)レベルでの第一原理計算(GSO-DFT)を用いることにより初めて、鉄硫黄クラスター実在系([2Fe-2S】クラスター)に対しnon-collinear(NC)状態を求め、その電子状態の解析を行うことに成功した。その結果、本方法が電子状態、スピン状態を適切に記述できることが示された。 [8Fe-7S]クラスターなどより大きい系についてはまずbroken-symmetry(BS)レベルでの第一原理計算計算(DFT)を実行し、適切なモデルハミルトニアンに射影するとによスピン構造、磁化挙動を解析した。特にMossbauerスペクトルや磁化挙動の観測量を求めることによって、実験のスペクトルを初めて帰属することに成功し、より詳細な電子状態について議論することが可能になった。このように実験値と直接比較できる観測量を第一原理計算から求め、実験値と直接比較させながらこの様な複雑な系の電子状態を解明していくことが非常に有用であることを示した。 これらの計算を遂行するに当たり、第一原理プログラムの拡張と観測量を求めるための新規プログラム開発を独自に行った。
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Research Products
(6 results)