2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08774
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 健二 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | イオン性液性 / 界面活性剤 / ゲル |
Research Abstract |
アルキルメチルアンモニオアルカノネートなどのノニオン性の界面活性剤は、1-アルキル-3-メチルイミダゾールのカウンターイオンにBrやClを有する親水性のイオン性液体でも、PF6やTFSIなどを有する疎水性のイオン性液体でも相溶することが判明した。しかし、溶液の粘弾性は変化しなかった。また、アルキル硫酸ナトリウムなどのイオン性の界面活性剤は親水性のイオン性液体に少量溶解するが、この場合でも溶液の粘弾性が変化しなかった。この挙動は、イオン性液体や界面活性剤のアルキル鎖長に依存しなかったため、界面活性剤はイオン性液体中においてひも状のような特別なミセル構造をとらないと結論できる。 また、界面活性剤を新たに加えなくても、カウンターイオンとして界面活性剤を有するイオン性液体、1-エチル-3-メチルイミダゾールアルキル硫酸でも検討した。一部、界面活性剤の鎖長が長い系において粘度の高いイオン性液体になった。粘弾性測定の結果、このガラス状のイオン性液体はひずみ依存性が強いビンガム塑性体であり、ひも状ミセルのからみ合いによるものではなかった。また、このイオン性液体に臭化ナトリウムなどの単純塩は少量しか溶解せず、溶液の粘弾性は変化しなかった。 イオン性液体をゲル化する分子としては、有機溶媒をゲル化する有機ゲル化剤に似た構造を持つものが多い。これらの系では、水素結合などの分子間相互作用を利用して超分子を形成する。イオン性液体の比誘電率は約20であり、この値は純水の誘電率に比べて非常に低く、有機溶媒の誘電率に近い。この事実と本研究の結果を考慮すると、イオン性液体中において超分子を形成してゲル化させる方法としては、水溶液中におけるミセル形成のような、疎水性相互作用と静電相互作用のバランスを考える方法よりも、有機ゲル化剤のような分子間相互作用が生じやすいような分子設計を行う方法のほうが適切と考えられる。
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