2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着分子ネクチン・アファディン系による細胞の極性形成機構
Project/Area Number |
06J08802
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 涼子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞間接着 / 細胞極性 / アドヘレンスジャンクション / タイトジャンクション / ネクチン / アファディン / α-カテニン / アネキシンII |
Research Abstract |
細胞間接着は細胞の運動や増殖、極性形成の制御に重要な役割を果たしている。上皮細胞は細胞間接着や細胞極性形成が発達した細胞のひとつであり、細胞間接着の分子機構について最もよく解析されている。主な細胞間接着機構として、タイトジャンクション(TJ)、アドヘレンスジャンクション(AJ)、デスモソームが知られており、これらの細胞間接着装置は頭頂側から基底側にかけて規則正しく並んでいる。私共はAJにおける新しい細胞間接着分子としてネクチンを見出した。上皮細胞においてネクチンがまず細胞聞接着を形成し、その部位にある接着分子カドヘリンをリクルートして、AJとTJ、および細胞極性の形成を制御することを明らかにしている。本研究では、ネクチンーアファディン系によるAJとTJ形成の分子機構を解析し、以下の結果を得た。 (1)イヌ腎上皮由来MDCK細胞をRNA干渉法によりα-カテニンを発現抑制すると、ネクチンによる細胞間接着は形成されるが、カドヘリンによるAJの形成やTJの形成は阻害された。 (2)α-カテニンと共にアネキシンHを発現抑制すると、カドヘリンによるAJの形成は回復しないが、TJの形成は回復した。 以上の結果から、α-カテニンはAJとTJの両者の形成を促進するのに対して、アネキシンIIはAJの形成を促進するが、TJの形成には抑制的に働いており、α-カテニンによってこの抑制的作用が解除されると考えられた。また、このTJ形成にはネクチンによる細胞間接着形成に依存的であり、必ずしもカドヘリンによるAJの形成を必要としないと考えられた。
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