2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J08815
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | c-Abl / Abi-1 / Mena / リン酸化 / CHO細胞 / GFP / GST / セルソーター |
Research Abstract |
我々はこれまで、c-Ablの酵素活性がトランスに働くアダプター分子、c-Cbl、c-Crk、Abi-1によって制御されていることを報告してきた。そのアダプター分子の中で、Abi-1は酵素であるc-Ablと基質であるMenaに結合することから、「アダプターが酵素に基質を提示することでリン酸化反応を促進する」というモデルを提唱した。しかしながらこのモデルは、細胞内における過剰発現系で検証した結果を基に提唱したものであり、他の分子が関わる可能性は否定できない。そこで、精製タンパク質を用いてin vitroでリン酸化反応の再構築を行うことを考えたが、c-Abl、Mena共に分子量が大きいため(c-Abl 140kDa、Mena 80kDa)、既存の大腸菌や酵母の系では発現することさえ困難であった。そこで私はこの問題を解決するために、哺乳類細胞で、浮遊培養が可能なCHO-S細胞を用いたタンパク質発現システムを構築した。このシステムは、レトロウイルスレセプターを発現させたCHO-S細胞に、目的遺伝子を組み込んだレトロウイルスを感染させ、目的遺伝子をGST融合型タンパク質として発現させることで、目的タンパク質の精製を容易にしている。また、マーカーとして用いたGFP高発現細胞をセルソーターにより選択することで、目的タンパク質安定高発現細胞を迅速かつ簡便に取得できるのが特徴である。現在このシステムを用いて、c-Abl、Abi-1、Menaが発現精製できることは確認済みであり、Menaに関しては1.8mg/Lといった非常に高い濃度での発現精製が可能となっている。以上の結果より、新規タンパク質発現系を立ち上げ、分子量が大きいc-Ablの発現・精製における基盤を作ったことより、申請内容の多くを達成できたと考える。
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Research Products
(7 results)