2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性アセトゲニン類の不斉合成研究及び作用機序の解明を指向した蛍光プローブ化
Project/Area Number |
06J08844
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨永 博章 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 抗腫瘍活性天然物 / バンレイシ科アセトゲニン / テトラヒドロフラン環 / longimicin D / 不斉アルキニル化 |
Research Abstract |
バンレイシ科アセトゲニン類は、1から3個のテトラヒドロフラン(THF)環を含む脂肪鎖の末端にγ-ラクトン環を有するポリケチドであり、抗腫瘍活性を代表とする幅広い生物活性を示すことから注目されており、またTHF環部分の立体化学などの構造の違いによって活性の強さなどに差が生じることが知られている。そこで、当研究室ではTHF環部分を立体選択的に合成する手法の開発を目的として研究に着手し、これまでにTHF環部分の系統的不斉合成法を確立し、様々な立体化学を有するmono-及びbis-THF環骨格の立体選択的な合成に成功している。また、本手法を用いた様々なアセトゲニン類の合成の第1段階として、mono-THF環を有するアセトゲニンであるmurisolin類の全合成を達成した。そこで、本手法の更なる展開として、ヒト膵臓癌細胞に対してアドリアマイシンの約10万倍もの細胞毒性を示すことが知られているlongimicin Dの合成を行い、癌細胞に対する細胞毒性評価を行うことを計画した。 系統的不斉合成法により合成できるα位に隣接bis-THF環を有するアルデヒドに対して光学活性なアルキンを用いた不斉アルキニル化を行うことにより、longimicin Dのthreo/trans/threo/trans/threo型のbis-THF環骨格を構築した後に、γ-ラクトンとのカップリングを経てlongimicin Dの不斉全合成を達成した。 合成したlongimicin Dを用いたヒト培養癌細胞パネル(肺癌7系、胃癌6系、卵巣癌5系、脳腫瘍6系、乳癌5系、腎癌2系、前立腺癌2系、およびメラノーマ1系)によるスクリーニングの結果、longimicin Dはヒト胃癌細胞やヒト肺癌細胞に対して特に強い生育阻害活性を有し、またその他の癌細胞に対しても中程度以上の生育阻害活性を有することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)